第64回日本宇宙航空環境医学会大会
  大会長 和氣 秀文
 (順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科・教授)


 謹啓 時下、ご清祥のこととお慶び申し上げます。 この度、第64回日本宇宙航空環境医学会大会を2018年11月22日(木)~24日(土)に順天堂大学さくらキャンパスにて開催することとなりました。 日本宇宙航空環境医学会は航空医学を中心にして1955年(昭和30年)に発足し、その後、我が国の宇宙航空開発などの進歩にあわせて発展しました。航空医学および宇宙医学分野における国内で最も伝統のある学会であるといえます。航空医学分野では、航空機の乗員乗客の健康管理に関する研究や最近ではドクターヘリに関わる種々の問題を扱った研究など、航空に関する医学的問題を幅広く扱っております。宇宙医学分野においては、我が国でも1990年代から有人宇宙飛行がルーチンワークとして実施されるようになり、微小重力環境に対する生体応答や宇宙飛行士の健康管理に関する研究などが盛んに報告されています。このほか、高所(低圧)環境や潜水(高圧)環境下における生体応答、南極大陸など特殊環境下における生理心理学的問題、寒冷・暑熱環境に対する生体応答など、環境医学に関連した興味深い研究報告も本学会から数多く発信されてきました。

 さて、2020年東京オリンピック・パラリンピックを迎えるにあたり、スポーツに関する国民の関心は日増しに高まっています。この現象はスポーツ健康科学分野にも波及しており、当該分野の発展には目覚ましいものがあります。スポーツ健康科学というと、スポーツ競技力の向上を目指した研究や生活習慣病の予防・改善を目的とした研究が注目されがちですが、本学会では、宇宙滞在による生理機能低下を防ぐための運動トレーニングプログラム、宇宙飛行後の筋力トレーニングプログラム(リハビリテーション)、さらには航空機の乗客を対象とした飛行中の体操プログラムの開発など、スポーツ健康科学に関連深い研究報告も古くから活発になされています。今日では長期間の宇宙滞在が継続的に行われるようになりました。宇宙滞在による体力水準の低下を如何に抑止することができるか?このテーマは宇宙開発を推進していくうえで解決すべく最重要課題の一つといえます。すなわち、宇宙医学とスポーツ健康科学の関係は今後増々強くなっていくと考えられます。

 こうした背景のもとに、第64回大会では宇宙医学分野に着目し、「宇宙開発を支えるスポーツ健康科学」というテーマを掲げて開催する運びとなりました。シンポジウムとして、「微小重力による骨格筋萎縮のメカニズム(案)」「宇宙における体力トレーニング(案)」や宇宙滞在によってみられる骨格筋萎縮との類似性に着目し、「サルコペニア-機序と予防(案)」などを企画いたしました。また、公開講座として、「宇宙オリンピック開催に向けて(案)」と題し、宇宙でやってみたい新しいスポーツについて、地元の小学生・中学生の意見を募り、スポーツ庁やJAXAそしてオリンピアンズ・パラリンピアンズを交えて楽しく討論する場も企画しております。本大会を通じて、宇宙航空環境医学とスポーツ健康科学の結びつきが一層強まり、今後の宇宙開発の躍進に繋がることを期待しております。

印西市で第64回日本宇宙航空環境医学会大会を開催できることを大変光栄に存じます。多くの皆様にご参加いただき、有意義で実り多い大会になることを祈念しております。